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Case Studies

取組事例集

(株)ゆうきのもり

【基本情報】
高知県四万十町の中山間地で生姜を中心に60品目の有機認証生産物加工品等を生産。有機JAS認定農場として農産・小分け・加工の3部門取得済み。
認定圃場面積は5ha
代表:大森行彦 社員:3名 パート・アルバイト:8名
〒768-0072 高知県高岡郡四万十町中神ノ川268
https://www.yuukinomori.com

【きっかけ・経緯】
神戸出身の大森さんの前職は海外を転々とする営業マン、会社員勤務を終え日本で住まいを探し訪ねていたところ、高知県の山奥にある四万十川支流のほとりの土地を気に入り定住。この地が年間を通じて朝夕の寒暖差が大きく、豊かな水があり中山間地であることから食の安全安心を目指し1991年に有機農業にて栽培を始めました。仕事とはその地で生まれるものと考えておられ、豊かな山と水、谷の間には大きな空が広がり、輝く太陽のもとでは小鳥や虫たちが心地良い音を響かせています。日本は海に囲まれ山間地は7割りを占めます、2011年に東日本大震災があり自然災害はいつどこでも起こるもの、自身の生産販売活動だけでなく過去の経験からも広い視点での活動を思い、農水省事業マッチングフェア(展示会での商談会)に四万十有機農業推進協議会をつくり参加が有機農業を始め20年のターニングポイントとなった。

【オーガニックを広げる思い・こだわりの手段】
①機会があれば何度でも展示会やイベントに参加する。
実需者と会うことは重要、それには商談会や展示会に経費を掛けても参加すべきだと思う。間口は広く自身の生産物が手間隙をかけて育てたから売れると考えるのではなく、商談先のどこに合うのかを考え出す。いわゆるマーケティングとして聞き出さなくては相手の求めには届きません。また、上京の折には納入先を訪問するなど自身の目と販売担当者との交流も大切にしている。
②自社の有機農産物の年間収穫カレンダーと予想収穫量を把握しておく
播種から収穫までのカレンダーには予想収穫量を記載する。保存可能な生産物も同様に、これによって保存から加工へとフェーズが変えられる。取組んだのは原料として粉末や液体化。輸送には費用も掛かることから自社内での小規模加工を考え、加工の有機JAS認証も取得。「生姜みそ、生姜シロップ、生姜ジャム、生姜チップ、生姜粉」の5品目は無添加・無加水で、生姜そのままの香りと辛味をそのままに味わえます。料理の調味料や隠し味に使う等は納品先のシェフから聞かせていただいた話しです。


③6次産業化により有機農産物でも加工品が多く生まれています、加工品商談についてアドバイスがありますか
商談を行なう際にエントリーシートを求められることがあります。これにも速やかに書き込める様に商品化をすることが肝心でしょう。商品名・商品サイズ・規格(容量・容器形態)・商品総重量・ケースサイズ・ケース総重量・JANコードと取引形態・最低納品数・発注単位・発注方法・リードタイム・賞味期限・消費期限までは確実に、差別化を講じるなら商品特徴や利用シーンにターゲット顧客に沿った自社PRや商品PR、特にストーリー性を加えるのも良いそうだとはある商談担当者からのアドバイス。最後にアレルギー表示・商品の検査状況・PL保険の有無など回答できる様にすることをお勧めしたい。

④LINEで圃場状態を報告について
LINEでメンバー登録していただければ、最新の圃場の状態を見ることができます。最初は社員同士で育成の状況把握と記録で始めていたものですが、バイヤーさんに見ていただき好評をいただきました。生産者の圃場まで足を運ぶことは難しいですが、成長過程と生産者の作業内容を見ることができます。このことからでも産地を身近に感じていただけるのではと思います。ぜひ、遠隔地の生産者にお勧めしたい。

⑤60品目の有機認証生産物加工品等を生産されているのはなぜですか
家族で消費することが主で、残りをお裾分けとする生産者も数多く居られます。私どもは宅配便を主に配送していますが、全国規模での生産量を確保して生産製造を行なっています。60品目の中で生姜はメインであることは確かです。ですが天候を相手にするのが農業です。化学合成農薬や肥料を使わない生産では虫や病気によって全滅の場合も考えられます。そこで品種品目の違った野菜(葉菜・果菜・根菜)を保険の為に栽培しています。

⑥最後に弊社のこだわりで得意な栽培農産物として生姜が挙げられます。降雨量が多く昼夜の気温差など、この地の気候風土が生姜の栽培に最適。生姜の有機栽培は手がかかるが安心安全な生産物を消費者にお届けできるように育てています。「土佐一」は根塊が大きくマイルドな辛味、黄金虚空蔵IIは高知で生まれ香りが良く繊維が少ない希少価値の国産生姜の有機黄金虚空蔵II生姜(農林水産省登録品種13644号)を有機栽培にて生産しているのはウチだけですと自慢。からだを元気にする成分ショウガオールが一般的な生姜の約1.7倍(高知県工業技術センター調べ)ということです。

【現在の取組内容】
過去の商談会で知り合ったネット販売では黎明期でもあり成功は無かった。発送には手間隙は掛かるが、小売店や飲食店が中心で青果を宅配便で発送とした。FCサイトとはここにきて価格が折り合うところで「ゆうきのもりオンラインショップ」を始めて見た。これで国産有機サポーターズに参加できるのか楽しみです。現在は「農家におまかせ旬有機野菜」セットをボックス・スキームで発送しています。

https://ec.tsuku2.jp/shop/0000214093

【ゆうきのもりのポイント】

農業においても産業化できることを考えておくことが重要と考えています。自社でできる有機農産物はもとより、周辺の有機的な作り方をされている生産者との関係を育てることからでないと有機農業の拡大や収益力を上げることは難しく思います。東京の展示会へ出展するにも出展料だけでなく経費がかかります。補助金の申請手段すら知らない方への助言も自身の体験から。畑にでていても消費者皆さんの笑顔を思い浮かべ野菜作りをすることこそが有機農業のすべきこと。今は少数ではあるが日本の農業の中心になり有機農業の産業化ができる手段を探る生産者であり続けることが大切なのだと思っています。