1. HOME
  2. 特集
  3. (株)悠三堂

Case Studies

取組事例集

(株)悠三堂

【基本情報】
2014年に新規就農、日本茶の栽培製造販売を主な事業内容。約3haの畑を借りお茶を自然農法で栽培。2016年に株式会社 悠三堂を設立。2018年有機JAS認証を取得、2023年で5年目を迎えます。
代表取締役:礒崎 遼太郎 従業員:4名(季節労働者含む)
本社:奈良県奈良市上深川町
大阪営業所:大阪府枚方市釈尊寺町
サイト:https://yusando.com/

 

【きっかけ・経緯】
2013年に奈良でお茶農家をされている友人から誘ってもらったのがスタート。2016年に上深川町地域の茶工場がなくなってしまうとされ、声かけをいただき始めることになりました。自分の性格から繊細な一年草の農作業は苦手と思っており、農業をするというよりも自然農法をやってみたかったところから自分に向いている作物から入ったというところです。

【秀明自然農法* について】
この辺りは新茶が遅くて、5月20日ぐらいから30日に刈るので一般的な静岡や和束(わづか:京都府南端)とか比べたら遅い方なんです。それは寒いからでお茶の産地は温かいほうが良く育つし何回も収穫できます。一番茶が遅いので市場の価格的にも下がってくるマイナス要因があり、お茶を辞める人が多く新規就農で沢山の農地を貸していただきました。
〈質問〉:自然農法のお茶として寒いところでの栽培は問題ないのですか?
たくさん難しいところはあると思うのですが、この地でやって行くには1年の内の収穫回数は少なくして、できるだけ自然に有機物を返すこと。この畝間も堆肥になるように昨年に落としたのが随分と分解されています。また、夏にちゃんと木の中に太陽の光をあててあげるみたいなやり方をすればなんとか続けていけます。
自然農法だとお茶が枯れるから止めた方が良いとの話しもありましたが、もう7〜8年やっていてまだ木も元気だし、自然農法には自然農法なりのやり方があるんだなと。それを自分たちでどのように理解し習得して行くところが難しいくもあり、また面白いところでもあります。
*秀明自然農法(礒崎氏談):基本的に農薬・化学肥料、もっと言えば動物性の有機質肥料とかを一切使わず自然の土の力を活かした栽培方法で、もともとは土そのものに作物を作る全ての栄養素が備わっているのが基本の考え方。その育て方によって正常な作物ができ、それを食べたり飲んだ人がより健康になるシンプルな考え方。経済的なことだけを求めるだけでなく、健全な作物があって健全な人間がいて、それを食べたり飲んだりして健康になることが嬉しい。それがうまく循環すればいいなということです。

【一番の課題はなんでしょう】
お茶農家だけではないでしょうが、農繁期と農閑期がハッキリ分かれている仕事なため、農繁期に人を集めることは苦労します。現地では人員調達は難しく、幸い私は大阪に暮らす利点を生かして常に諦めずに声をかけ、集めて現地まで連れてきています。
また同時に、農福連携* も活かしたい考えがあり、福祉施設の方に協力していただいています。最初は袋詰めから始まり、お茶の草取りもお願いできるようになりました。実際に身体の障害や、精神的にしんどいとされる障害を持っている方と作業することから理解を重ね、次第にお茶作りの作業に関わっていただいています。できなかったことができる様になる、コミュニケーションは不得意だったとしても普通に働けることが分かってこれは素晴らしいことだと感じています。
*農福連携:農業と福祉の連携は、障害者等が農業分野で活躍することを通じ、自信や生きがいを持って社会参画を実現して行く取組です。農福連携に取り組むことで、障害者等の就労や生きがいづくりの場を生み出すだけでなく、担い手不足や高齢化が進む農業分野において、新たな働き手の確保につながる可能性もあります。(農林水産省HPより)

【有機JAS認証を取得した理由】
やり始めた2015年から最短で取ろうと栽培記録を付けていました。自分は一番の新参者だし、お茶は格式や伝統の世界であり簡単に変わることではないことから差別化ではないが、何かを付与しなければと思い、2018年には有機JAS認証を取得しました。

取って良かったと思うのは取引先と話す際に有機JAS認証を持っているかと問われることです。自分達は農薬化学肥料を使っていませんと言ったとしても、私達のことを知らない人には伝わりません。そこを担保するのが有機JAS認証の一つで信頼につながることです。また、海外等でもオーガニック認証として話しができる点でもあります。

最初1〜2年は農作業以外に販売作成物を作るのにも大変、加えて認証にかかわる資料作りに苦労
はしましたが、慣れたところで有機JAS認証の資料作りのためのソフトをファイルメーカーを使い自前で作りました。多数の紙情報を転記することの作業を携帯のシステムに打込めさえすれば全て一括出力できる。それからは楽で、提出した書類を自分達の日々の活動に役立てる。有機JAS認証に捕われるのでなく日々の意識づけとして、栽培記録を付けずに過ごすのと毎年資料を提出することは長い目で見て将来が見え、考えを育てることにつながるものだと思います。